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【港町ヨコハマの新旧を歩く】コットンハーバー地区に残る歴史的遺構〜浅野ドックと神奈川台場〜

はじめに


いつもポートサービスのブログを読んでくださりありがとうございます。先日、船舶のメンテナンスのために横浜コットンハーバー地区のドックヤードを訪れる機会がありました。コットンハーバー地区は港町ヨコハマの歴史と現代が融合する魅力的なエリアです。そんなわけで、今回は美しいウォーターフロントを背景に、商業施設や高層マンションが立ち並ぶコットンハーバー地区の歴史を深堀りしていきたいと思います。ALTAIRドック

コットンハーバー地区の歴史


コットンハーバー地区には、かつて浅野ドックがありました。浅野ドックはセメント会社で財を成した浅野総一郎氏によって建造された造船所。海運業に進出したのち、経営のために造船所が必要不可欠と感じ、建設されたのが浅野ドックです。
埋め立て工事と同時進行で造船所建設工事が行われ、埋立工事開始から造船所建設を経て、最初の船の進水式までわずか15ヶ月という短期間で成し遂げました。その偉業と功績から、京浜工業地帯の父とも呼ばれています。浅野総一郎▲アサノコンクリート深川工場に建つ浅野総一郎氏の銅像。

戦時の好況により短期間で成長したものの、鋼材不足や第一次世界大戦の終了と共に、造船業界は不況に。時代の紆余曲折を経て、造船から製鉄に会社の中心業務が移行すると、日本鋼管(現JFE)と合併し、造船所の名前も『日本鋼管鶴見造船所』となりました。
正式名称が変わったあとも、通称浅野ドックと呼ばれ親しまれてきました。海上保安庁の灯台補給船だった宗谷が浅野ドックで改造され、初代の南極観測船となったことでも有名です。宗谷▲初代南極観測船 宗谷。現在は「船の科学館」前に係留され保存展示されている。

1995年に閉鎖となり、浅野ドック跡地周辺はコットンハーバー地区として再開発が進みました。30年近くが経過した現在では高層マンションや会員制リゾート施設、フットサルコートなどが立ち並び、港町ヨコハマの新しい歴史を刻んでいます。

歴史の遺構


さて、時代の移り変わりとともに横浜の新しい顔となったコットンハーバー地区ですが、一方で歴史の面影を残す場所もあります。それが神奈川台場跡地
神奈川台場は首都防衛の目的のため、1860年6月に竣工しました。海岸から東京湾に突き出る形で埋め立て地の先端に造られた神奈川台場と陸地は、東西2本の道で結ばれていました。その内側は船溜まりとなっており、これは、他の台場には類を見ない構造でした。
船溜まり:船が風波を避けて停泊する所船溜まり▲右下のイラストが船溜まりの構造

神奈川台場に設けられた砲台は実戦に使われることはなく、外国の港に入った際に祝砲を上げるために使われていました。1899年、施設が廃止となり、跡地は転用されることに。1921年になると埋め立て工事が始まり、神奈川台場の多くは地中に眠っています。

そして、横浜開港150周年を記念して2009年に公園整備が行われ、神奈川台場の遺構を見ることができるようになりました。一部は高層マンションの敷地と隣接する形で残っており、文字通り歴史と現代が融合するエリアとなっています。神奈川台場跡地1▲公園に隣接する神奈川台場跡。今は子供たちが遊ぶ姿を見守っている。神奈川台場跡地2

コットンハーバーの名前の由来


それにしても、コットンハーバーなんて港町ヨコハマらしい爽やかな印象を受けますよね。地名にはどんな由来があるのでしょうか?その理由は2つあると言われています。一つめは、洗いざらしの綿のような自然の風合いや手触りを感じる心地よさを目指すという街づくりのコンセプトに由来するもの。確かに、心地よい風が吹いていました。
そしてもう一つは、内陸側の神奈川1丁目にあった綿花町の地名に由来すると言われています。この地域にはかつて綿花倉庫があったことからそう呼ばれているそうです。綿花

おわりに



かつての浅野ドック跡地の近くには、国土交通省関東地方整備局が管理する京浜港ドックがあります。こちらも昭和初期から平成にかけて、横浜港などの防波堤や岸壁の基礎となるコンクリートを制作していた歴史的な施設。現在は土木学会選奨土木遺産に認定されています。

続々と新しいスポットができている横浜・みなとみらいですが、港町ヨコハマの発展を支えた歴史的建造物も数多く残されています。歴史に触れてみると新しい横浜の魅力が見えてくるかもしれませんね🎵今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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