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2023年06月27日 [横浜の通船・ラインボート ]
船ってどうやって造られるの?♯2【船造りの真髄『現図』と『型枠』とは】
はじめに
前回はポートサービスの交通船にも使われている複合素材 FRPで造られる船のプロセスを、素材の特徴と共に紹介しました。今回は、FRP素材における造船の設計図を原寸に起こす『現図(げんず)』と『型枠(かたわく)』について、紹介します。前回のふりかえりはこちらから
職人の技がキラリと光る『現図』とは?
造船所と船主との打ち合わせをもとに、船の設計図が作成されます。この時点で、設計図は縮小されたサイズで描かれています。この設計図を1/1スケール、つまり、実際のサイズで図面に起こす作業が現図です。また、曲面で構成されている船を平面に展開する必要もあります。
この時、縮小された設計図をそのまま原寸にすると、“なめらかな線”にならないこともあるそう。例えば、1/100で描かれた設計図に1oの差があったとしたら、原寸では10pのズレが生じることになります。船は曲線が多い構造物ゆえ、なめらかな曲線になっているかがとても大切なんですね。
いまにも動き出しそうな木の船『型枠』とは
その後、始まるのが型枠と呼ばれる船体の型の作成。写真を見てわかるように、すでに船の形になっていますよね。海に浮かべたら、動き出しそうです。でも、これはあくまでも型。
というのも、FRP素材の船は、型枠に樹脂やガラス繊維を積層(本体積層)、型から取りはずし、ブリッジ等の組み立てという作業の流れになるためです。
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タルトに例えるなら、焼型が型枠、タルト台が本体(FRP)、フルーツやカスタードがブリッジやエンジンといったところでしょうか。(イメージしにくかったらごめんなさい)
鋼鉄の溶接や組み立てによって本体が造られる鋼船とは、工程が大きく異なりますよね。
おわりに
今回はFRP船の始まりの始まり、現図と型枠について紹介しました。手作業で丁寧に仕上げられる現図と型枠の作成は、船造りの真髄とも言える作業です。間近で造船所を見学させていただきましたが、神々しい感じがしました。
次回はいよいよ船の本体となる“船殻”について紹介していきたいと思います。
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