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2023年04月21日 [横浜の通船・ラインボート ]
世界初!水素混焼エンジン搭載小型旅客船 ハイドロびんご
はじめに
前回の投稿では日本が世界屈指の海運国であることを紹介しました。今回はそんな海運国・日本が抱える環境問題から、水素エネルギーを利用した環境に優しい船『ハイドロびんご』について、環境負荷低減のメリットや魅力を解説していきたいと思います。
ハイドロびんごってどんな船?
ベルギー海運大手CMB(Compagnie Maritime Belge)と中小型船の造船を手掛ける広島県のツネイシクラフト&ファシリティーズ(TFC)の共同開発により、2021年に竣工されたハイドロびんご。
ハイドロびんごは水素と軽油の混焼エンジンを2つ搭載した世界初の小型旅客船です。従来の軽油に加え、水素を混ぜ合わせて燃焼させることで、より環境に優しい航海を実現しました。地球温暖化の原因となる温室効果ガスの大幅な削減を叶え、二酸化炭素の排出量は最大で50%減。
水素は後部の可搬式トレーラーから、軽油と別ラインでエンジンに供給されます😊
ここまで読んで、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、ハイドロびんごのびんごは造船所がある広島県東部を示す『備後』に由来しています。
(BINGO!の方ではなかったんですね〜💦)
ハイドロびんご 水素と軽油を一緒に燃やすメリットとは?
燃焼する際に二酸化炭素を出さず、究極のクリーンエネルギーとも言われる水素。
しかし、水素は軽くて密度が低い分、体積が大きいという難点があります。つまり、水素だけで船を走らせようとすると、巨大なタンクが必要になってしまいます。
そこを補うのが、混焼エンジンの技術。水素と軽油と一緒に燃やすことで、タンクが小さくて済み、広々とした乗客スペースが確保できるようになりました。また、軽油だけでも航行可能なため、万が一水素がなくなったり、水素の供給ができない海域を航行する場合でも、運航を続けられるというメリットがあります。
もっと知りたい!水素混焼エンジン搭載小型旅客船『ハイドロびんご』の魅力とは?
ハイドロびんごのもう一つの特徴が、双胴船と呼ばれる、船体が2つの胴体から構成される船であること。その魅力は…☟
魅力1:安定性の高さ
船体が2つあるため、波の影響を受けても傾きにくく、乗り心地が良いと言われる双胴船。風による偏向力にも強く、直進性が高いため、長距離航海にも適しています。
魅力2:広いスペース
2つの胴体の間には広いスペースがあり、荷物や乗客をたくさん乗せることができるため、旅客船や貨物船に適しています。ハイドロびんごの客席もとても広いですね🎵
■「ハイドロびんご(Hydro BINGO)」 概要
船名:「ハイドロびんご(Hydro BINGO)」
船質及び構造:耐食アルミニウム合金製
全長×船幅×深さ:19.4m(LOA)×5.40m×1.75m
総トン数:19トン
主機関:連続最大出力 441kw(600PS) ×2,300min-1 ×2機
速力:航海速力 23kt
最大搭載人員:82名(旅客80名、乗組員2名)
おわりに
日本では『2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする』という目標を掲げています。昨今では電気自動車や水素自動車など、環境に優しい燃料を利用した乗り物や、リサイクルプラスチックなどを利用したエシカルな商品が増え、環境問題をより身近に感じられるようになってきましたね🎵
そして、わたしたちポートサービスでも4月22日に環境に優しい船ハイドロびんごの運航を開始します。速力は時速42キロを越え、安定性の高さと乗り心地の良さを兼ね備えたハイドロびんご。横浜港で未来の船に乗ってみませんか😊
運航予定など、詳細はこちらからどうぞ☟
ポートサービス 観光船【横濱ハイドロびんご クルーズ】
※通常運航は軽油使用での運航となりますので、ご了承ください。