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2022年11月22日 [横浜の通船・ラインボート ]
航海灯はなぜ赤と緑?色でわかる船の進行方向
◆はじめに◆
船の灯りって、よ〜く見たことありますか?今回紹介するのは航海灯と呼ばれる船の灯り。船の安全を守るためにとても大切な設備なので、掘り下げて紹介します💁♀️
◆航海灯とは?◆
乗り物には位置・方向・状態に関する情報を他社に提供するために、灯火を設置することが定められています。航海灯とは、船舶に設置される灯火(位置灯)のこと。車で例えるならヘッドライトとテールランプといったところでしょうか。
前方に赤いテールランプが見えれば、他車の後方にいることがわかります。また、前方からヘッドライトの灯りが迫ってくれば、対向車が近づいていることがわかりますよね。ただし、船の灯火は前方の障害物を見つけるためのものではありません。
◆色でわかる船の進行方向◆
航海灯は右舷側が緑、左舷側が赤と定められています。このように色と設置場所が決まっていることで船の進む方向がわかります。
では、実際に方向がわかるかイラストで見てましょう。他船の左舷に設置された赤の灯火が前方に見えるとき、他船は右から左へ移動していることがわかります。
続けて、右舷に設置された緑色の灯火が前方に見えるとき、他船は左から右へ移動しているということになります。より詳しく知りたい方はこちらをどうぞ💁♀️海上衝突予防法 | e-Gov法令検索 夜の灯火(その1)
◆なぜ右に緑、左に赤?◆
では、どのような経緯で左右の色が決まったのでしょうか。それは、ビナクルに設置されたケルビン・ボールの色に由来すると言われています。
ビナクルとは船の甲板上に設置されたコンパスなどの航法計器が取り付けられた構造物のこと。左右に設置された鉄製の球体がケルビン・ボール。ビナクルが引き起こすコンパスの乱れを避け、誤差を補正するために左右に鉄製の球体が埋め込まれています。
Rama - 投稿者自身による著作物, CeCILL, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=232273による
写真を見てもわかるように、左が赤、右が緑に塗装されたボールが、今でも船の左舷と右舷を表す航海灯の色として使われているのですね。
ちなみに、船舶免許を取るときの語呂合わせで「みぎみどり」という言葉があります。「みぎ」「みどり」の頭文字を取った造語ですが、右舷側が緑・左舷側が赤…覚えられましたか🤔❔
◆航海灯は世界共通ってほんと?◆
相手船の航海灯がどの方向に見えるか、どちらに向いているか、動いているか…といった情報を得て、相手船と衝突のおそれがあるかどうかを判断しています。つまり、すべての船舶が同じルールで設置していないと大変なことになります。
船舶に設置される灯火の位置や色、明るさなどは海上衝突予防法で定められています。海上衝突予防法はこれまでのブログでも紹介したことがありますよね。これは、海上における衝突の予防のための国際規則に準じていますので、航海灯の色・位置・明るさなどは世界共通。
いつか外国の船で旅することがあったら…航海灯をチェックしてみましょう🌎😊👍
◆共通点が多い船と飛行機◆
航海灯は広くは航行灯と呼ばれ、乗り物の位置・方向・状態に関する情報を他者に知らせるために設置されています。もうお気づきの方も多いと思いますが、左が赤、右が緑という灯火の色は航空機も同じ。
また、速度を表す単位ノットが航空機の現場でも使われているのは、以前の投稿でも紹介しました。こうして考えると、船と飛行機は共通点が多いですね。夜に飛行機を見る機会があったら、ぜひ見てみてくださいね🎵
◆おわりに◆
いかがでしたか?船の灯りを深堀してみたら、船のことも、飛行機のことも見えてきましたね😲✈🚢ポートサービスのブログでは船の豆知識を発信中です。次の投稿をお楽しみに!
資料引用
海上衝突予防法 | e-Gov法令検索 夜の灯火(その1)
ビナクルwiki