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2023年01月10日 [船の豆知識]
七福神を乗せた縁起物の船、宝船とは?
はじめに
いつもポートサービスのブログを読んでくださりありがとうございます。
2022年5月にスタートしたブログも、皆々様のおかげで2年目を迎えようとしています。本年も船にまつわる『へ〜』な話題をお届けしますので、どうぞよろしくお願いします。
2023年最初のブログは、年明けの1月にふさわしい煌びやかな船の話題からスタートです。
宝船とは?
さて、突然ですが金銀財宝が乗った船というと、どんなものを思い浮かべますか?タイタニックのような豪華客船?それともジャックスパロウを乗せた海賊船?いえいえ、日本には昔から宝船というめでたいお船があるんです。
宝船:七福神や八仙が乗る宝物を積み込んだ帆船、または、その様子を描いた図のこと。
つい七福神に目がいきがちですが、今回の主役はこの船。(イラスト参照)
宝船の絵や置物は縁起物として扱われています。ちなみに八仙とは中国の民間伝承でいう漢代の八人の仙人のことで、日本の七福神のような存在です。
宝船ってどんな意味があるの?
宝船が現在のような形になったのは歴史が浅く、元は悪夢や穢れ(けがれ)を乗せて流すというお祓いの意味合いがありました。また、室町時代には節分や除夜の際に船の絵が人々に分け与えられ、人々はそれを床の下に敷いて寝たそうです。そして、翌朝それを集めて流したり、埋めたりしていたんだとか。その様子からは、宝船は祓うものとして伝承されてきたことが伺えます。
では現在ではどうでしょうか?イラストを見ると、おめでたいものという印象が強いですよね。そうなんです。正月の2日に宝船の絵を下に入れて寝ると良い初夢を見ることができると言われ、お祓いの意味合いから転じて、現在では縁起物として扱われています。
新年を表す季語〜宝船〜
宝船は新年を表す季語でもあります。明治・大正・昭和を生きた有名な俳人 高浜虚子の句には、『吾妹子が敷いてくれたる宝舟』という句があります。
吾妹子(わぎもこ):男性が妻や恋人を、また一般に、女性を親しみの気持ちを込めて呼ぶ語。
自分のことを想って、宝船の絵を敷いてくれるひとがいる…そんな年明けのあたたかな光景が目に浮かびますね。
なんで七福神は船にのってる?
そもそも七福神が船に乗っているのはなぜなのでしょうか?船が好きだから…?
これには諸説ありますが、徳川家康が狩野派の画家に描かせたことをきっかけに、宝船に乗った七福神の図が広まったといわれています。一方、京都の禅寺では室町時代後半から宝船に乗った七福神の絵が描かれ、七福神信仰が広まってまもなく、「七福神が船に乗って訪れてくる」といわれるようになったそうです。
また、宝船の絵にはこのような回文が書かれることがあります。
永き世の 遠の眠りの みな目ざめ 波乗り船の 音のよきかな
(ながきよの とおのねふりの みなめざめ なみのりふねの おとのよきかな)
解釈:進みゆく船は心地良く波音を立てるので、過ぎ去る刻の数えを忘れてしまい、ふっと「朝はいつ訪れるのだろう」と想うほど夜の長さを感じた。
回文は逆さから読んでも同文になる言葉遊びの一種。短いものだと、『新聞紙(しんぶんし)』『竹やぶ焼けた(たけやぶやけた)』などがそれにあたります。子供の頃に回文を作って遊んだりしましたよね。さて、回文にも船が出てきたところで、七福神のルーツをたどってみましょう。
七福神のルーツはインドや中国など東洋のさまざまな神様だと言われています。そのため、「海の向こうからやってくる=船に乗ってやってくる」と考えられるようになったのかもしれません。現代なら、宝船ではなく宝飛行機に乗った七福神がいても不思議ではなかったでしょうね。
編集後記
船にまつわるめでたい話。そんなテーマで文章を書いていましたが、編集が終わって頭に残ったのは回文でした。というのも、子供の頃に回文がテーマの劇をやったことがありまして。引っ込み思案な性格の私が「わたしまけましたわ!」というセリフをもらえたことが、今でも忘れられません。編集Yのつぶやきでした。
次回もお楽しみに!
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資料引用
宝船 - Wikipedia
七福神はなぜ宝船に乗っている?|七福神の由来|七福神の名前や意味を紹介しています