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2022年07月21日 [船の豆知識]
船の名前に”丸”が多いのはなんで?【船名の由来・日本編】
はじめに
いつもポートサービスのブログを読んでくださり、ありがとうございます。7月18日は海の日でしたね。海と言えば、船!(ちょっと強引💦)というわけで、今日は船の名前について考えてみました。
船の名前と言えば?
船の名前と聞いて、“○○丸”のように、丸が付く船を思い出す方も多いのではないでしょうか。ポートサービスでも、扇海丸や剣丸が活躍しています。
丸が付く船の名前の起源は古く、記録として残っているものでは1187年(鎌倉時代)の仁和寺の古文書に書かれた坂東丸が最初と云われています。
その他、戦国時代の武将・豊臣秀吉が巨船を造って日本丸と名付けたのが起こりとする説など、由来には諸説あります。
日本丸と同名の船は現在も多数存在していて、わたしたちポートサービスが本社を置く横浜のシンボルともなっているのが、航海練習船として1930年に竣工された日本丸。約54年間、地球を45.4周する距離を航海し、現在は横浜港日本メモリアルパークにて保存されています✨
また、クルーズ客船のにっぽん丸(商船三井客船)も有名ですね。話はそれましたが、こうしてみると船の名前には丸が付くことがやっぱり多いですね👀
なんで“丸”なの?◇丸の語源◇
丸の語源は諸説ありますが、最も代表的なものは、「麿・麻呂(まろ)」が変化したとする説。
もともと自分のことを「麿」と呼んでいたのが、のちに「柿本人麿」のように敬愛の意味で人に付けられるようになりました。さらに、愛犬や刀といった愛用するものに広く転用され、やがて「麿」は「丸」に変化。その後、大切に思う気持ちを込めて、船にも丸が付けられるようになったとか。
もうひとつは、「本丸」「一の丸」といった城の構造物を呼ぶときの丸から由来する説。つまり船を城に見立てたわけです。
また、「本丸」「一の丸」の丸は大小便を意味する“放る(まる)”が由来。現在でも小さい子供が使う持ち運び式の便器をおまると呼びますよね。
わざと忌み嫌われる名前を付けることで、災いを除ける意味が込められています。その魔除けを願う風習から、お城だけでなく、男の子の名前や船にも丸と付けるようになったとも云われています。
船名の歴史
では、船名の歴史を紐解いてみましょう。時は室町時代までさかのぼります。
1392年(南北朝後期)正月から 8 月に現在の品川に停泊した船を記した武蔵国品河湊船帳には30隻の船の名前が記されています。ちなみに、この帳簿は税徴収の目的で記録されたものだとか。※品河湊=品川
こちらに記された30隻の船のうち、24隻は丸の名が付くもの。船名に丸を付けるのが広く浸透していたことが窺えます。
そして明治期に入ると、艦艇については海軍の命名基準が制定されるようになりました。また、商船についても細則が制定され、「船舶の名称にはなるべくその末尾に丸の字を付せしむべし」と、船の末尾に丸を付けるよう厳しく指導されました。
このことから、外国の人からはマルシップと呼ばれていたとか。
その後、昭和に入りアラビア数字の使用が認められるようになり、平成13年に丸を付ける指導が廃止、平成16年に船名は全面的に自由となりました。
近年まで厳しい細則に縛られていたとは、驚きですね!
おわりに
船名に使用する丸の文字は、中の点を右まで延ばして九の字の真中を左上から右下へ貫通させて閉じる習わしがあるそうです。九(苦)を絶つとか、船の中心に隙間を作らず『箱型を作って船を浮かす』といった縁起を担いでいるんだとか。魔除けから転じた説など、“丸”の一文字には船の安全を願う気持ちが込められているんですね🎵
広く浸透した丸の船名。“○○丸”と名付けた多くの人の気持ちを乗せて、今日も安全に航行していることでしょう✨🚢✨
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
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参考文献
明和海運株式会社 | » 船名「○○丸の由来」
2017S-OS3-8.pdf
日本の船名につく「丸」の由来とは | たびせん.com
丸・麻呂とは - コトバンク