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2024年11月12日 [横浜の通船・ラインボート ]
海の安全を支える水先案内人の重要な役割とは?
はじめに
船舶が多く行き交う水域を航行する際や入出港の際には各地の水域の事情を熟知したパイロットさんが大型船に乗船・サポートすることによって安全な航行を支えています。
交通船のポートサービスでは、水先案内人を東京湾内に入出港する大型船へと送迎しています。今回は海の安全を守る水先案内人の送迎を、交通船からの目線で紹介したいと思います。
水先案内人とは
水先案内人※とは、大型船の安全な航行と入出港をサポートする専門家です。複雑な水路や混雑した港湾エリアを航行する大型船舶に乗船し、船長や乗組員に適切な水路を教え、操船の指示を行います。※水先人、パイロットと同意
また、タグボートを使用した着岸・離岸作業の指揮も行い、船長に対して地域特有の航行条件や港湾の状況について詳細な情報を提供し、適切な助言を行います。
水先案内人の重要性
水先案内人の存在は、海上交通の安全性向上に大きく貢献しています。実際、水先案内人が乗船した場合の安全率は、乗船していない場合の約9.7倍にも上るそうです。
さらに、経済的な面でも重要な役割を果たしています。水先案内人の乗船により、海難事故による被害損失額が大幅に削減されるという推計結果が出ています。
大型船に水先案内人が必要なわけ
では、なぜ大型船の入出港に水先案内人が必要なのでしょうか?その理由はいくつかあります。
まず、大型船は小回りが利かず、十分な広さや水深を必要とします。また、障害物に気づいて急停止しようとしても、数キロ先まで進んでしまうことがあります。このような大型船の特性に対応するため、水先案内人の専門的な知識と経験が必要となります。
次に、混雑した水域の航行が挙げられます。例えば東京湾では、1日に大小500隻もの船が往来しています。このような多数の船が行き交う中で、船長一人だけで全ての水域や港の状況を把握し、安全に航行することは困難です。
また、水先案内人はそれぞれの海域特有の船舶交通ルールに精通しており、船長に適切なアドバイスを提供することができます。狭水道として知られる浦賀水道を玄関口とする東京湾のほか、東京湾と並ぶ混雑を見せる大阪湾、小さな島々が連なる海の難所・瀬戸内海など、多くの港や水域で水先案内人が活躍しています。
航行中の船に移乗〜直行とは〜
水先案内人は日本各地の湾の入り口から港湾までを担当するベイパイロットと港内での離着岸を担当するハーバーパイロットのお二方が大型船をサポートしています。冒頭でも紹介したとおり、交通船のポートサービスでは水先案内人を東京湾内に入出港する大型船へと送迎しています。ここからは実際の送迎の様子とともに見ていきましょう。▲大きな船のハシゴ(パイロットラダー)を使って水先案内人が下船する
上の写真も下の写真も、直行と呼ばれる双方の船舶が動いている状態での送迎です。
写真だとどちらの船舶も止まっているように見えますが、本船(大型船)はおよそ8ノット前後で航行しています。▲動く船舶からの移乗
大型船と小型船が並走すると、2隻の間の水流が加速し、小型船が大型船に吸い寄せられる吸引作用が働きます。衝突の原因ともなる注意すべき事象ですが、パイロットボートの船長は、巧みな操船技術でこの作用を利用し、パイロットボートを本船サイドに安定して接舷させ、水先案内人を安全に移乗させます。
接舷しているときは吸引作用により大型船との距離は安定しています。しかし、大型船から離れようとするときは、吸引作用から逃れる必要があるため、高い操船技術を要します。
双方の船が走りながら水先案内人の移譲をする直行は、船長の腕の見せどころです。
おわりに
ポートサービスのYouTubeでは、直行による送迎の様子を公開しています。緊張感溢れる現場での巧みな操船さばきをご覧ください😀今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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