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2024年10月29日 [横浜の通船・ラインボート ]
【海の不思議】海水はなぜしょっぱい?
はじめに
いつもポートサービスのブログを読んでくださり、ありがとうございます。
秋の深まりとともに、夏の暑さが懐かしく感じられるようになってきました。日を追うごとに海水浴の季節が遠い記憶となりつつあります。さて、夏のレジャーの筆頭としてあげられる海水浴ですが、ピーク時の1985年には3,790万人もの海水浴客がいたのに対し、2023年にはわずか360万人と約1/10以下に激減しているそうです。驚きの数字ですよね。
そんな海水浴の記憶を辿って、今回は子供の頃に誰もが抱いたであろう素朴な疑問、「なぜ海水はしょっぱいのか?」というテーマを掘り下げてみたいと思います。
海水はなぜしょっぱい?
海水には様々な成分が溶け込んでいますが、その塩分の大部分を占めているのは、私たちがよく知る食塩の主成分と同じ塩化ナトリウムです。具体的には、海水中の溶解塩類の約78%※が塩化ナトリウムで構成されています。つまり、海水のしょっぱさの正体は、主に私たちの食卓で使う塩と同じ成分。この高い割合が、海水特有のしょっぱさを生み出す主な要因となっています。※塩化ナトリウム(食塩): 約78%、塩化マグネシウム: 約10%、硫酸マグネシウム: 約6%、硫酸カルシウム: 約4%、塩化カリウム: 約2%
いつからしょっぱい?海水の謎
地球の誕生は約45億6000万年前と推定されており、その後、約40億年前に最初の海が形成されたと考えられています。海水がしょっぱくなった過程には、主に2つの説があります。
1つ目の説は、地球ができたばかりの頃から海水がしょっぱかったというものです。
初めて雨が降り始めたとき、大気中には塩素ガスが存在していました。この雨が塩素を溶かしながら地表に到達し、火山から出たガスも混ざって、とても強い酸性の雨になりました。この強い酸性雨が岩を溶かし、ナトリウムを含む様々な元素が抽出されました。そして、塩素とナトリウムが結びついて塩(塩化ナトリウム)ができ、最初の海の塩分となったのです。
2つ目の説は、徐々にしょっぱくなったというものです。
長い時間をかけて、雨水が地面の岩から少しずつ塩分を溶かし出しました。この塩分が川を通って海に運ばれ、蓄積されていきました。海水は太陽の熱で蒸発しても塩分は残るため、少しずつ濃くなっていったのです。
現在の科学的見解では、これら2つの過程が複合的に作用して、約5億年以上の長い時間をかけて現在の海水の塩分濃度が形成されたと考えられています。その結果、現在の海水は約3.5%という塩分濃度で保たれており、この濃度は地球の生命にとって重要な役割を果たしています。
海水はどれくらいしょっぱい?
前述の通り、長い月日をかけてしょっぱくなったとされる海水は、今では約3.5%の塩分濃度に保たれています。この濃度、どれくらいのしょっぱさなのでしょうか。
塩分濃度3.5%とは、海水1リットルの中に約35グラムの塩分が溶けていることになり、コップ1杯の水に小さじ1杯の塩を入れたくらいの量です。
例えば、飲み干せるスープや汁物の塩分濃度0.8%を目安としたとき、味付けの濃いおかずが1.5%、漬物が3%と言われています。また、パスタを茹でるときに、1%の塩を入れると、下味がつき、しっかりした食感になります。こうやって比較してみると、海水の塩分濃度が料理に使う塩分をはるかに上回っていることがわかります。どおりでしょっぱいわけです。
塩分濃度は変わらない?海の不思議
さて、長い時間が経って、雨が降ったり、氷河が溶け出しているのに、海水がしょっぱいままなのはなぜでしょう?
海水の塩分濃度は、自然界の様々な仕組みによって調整されています。雨や川からの水で薄まったり、蒸発や氷ができることで濃くなったりします。例えば、赤道近くの熱帯海域では、高温多湿で蒸発が激しいため塩分濃度が高い傾向にあります。一方、氷の形成と融解によって淡水が供給される北極海や南極海では、塩分濃度が低い傾向にあります。
このように、地球上の様々な場所で異なる要因が働き、全体として均衡を保っています。その結果、海水全体の塩分濃度は長期的にはほぼ一定に保たれているのです。
塩分が増える理由
- 川が運んでくる鉱物
- 海底の火山から出てくる鉱物
- 空気から落ちてくる塩
塩分が減る理由
- 海底に沈んでいく鉱物
- 海の生き物が使う塩分
- 水が蒸発して塩が濃くなり、また溶けること
おわりに
前項で紹介したとおり、海水の塩分濃度は環境によって微妙に変化します。
ポートサービスの交通船が活躍する横浜港ではどれくらいか…と調べてみましたが、公式なデータは見つかりませんでした(残念!)しかし、横浜港の特徴を考えると、その塩分濃度について推測することはできます。東京湾内に位置し、大きな河川からの淡水流入の影響を受ける横浜港。おそらく太平洋の一般的な値よりも低めの塩分濃度ではないかと考えられます。
それでは、今回も最後まで読んでくれて、ありがとうございました。次のブログもお楽しみに!
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