2025年04月08日 [横浜の通船・ラインボート ]
【見学レポ】小型船舶ならではの通気構造!その見えない工夫とは…?!
はじめに
いつもポートサービスのブログを読んでくださり、ありがとうございます。
人員輸送やつなとりを目的とした1軸船『鳥海』は、建造から44年を迎えます。綺麗に手入れされた船内やエンジンルームは、船長の日頃のメンテナンスの賜物✨先日、そんな鳥海を造船所の方と見学する機会がありました。その際、デッキの構造物に設けられた通気口について教えていただいたので、ご紹介したいと思います。

船舶の排気装置
まずは船舶の排気装置について見ていきましょう。大型船舶には、排気ガスを放出するためのファンネルと呼ばれる煙突が設けられています。ファンネルは、船内の機関室やボイラーで発生した排気ガスを外部へ排出する役割を担っています。

蒸気機関の発明により、石炭を燃料とする蒸気船が登場すると、ボイラーから出る煙を逃がすために大きな煙突が必要になりました。当時は石炭を燃料としていたため、煤(すす)による汚れが目立たないよう、ファンネルを黒く塗るのが一般的でした。現代では、ファンネルは単なる排気装置以上の役割を持ち、ファンネルマークと呼ばれる企業ロゴを表示するシンボルとしても活用されています。
小型船舶にファンネルがない理由
小型船舶では、前述したような大きなファンネルは設けられていません。
その理由は、小型船舶のエンジンは比較的小型で排気ガスの量も少ないため、大きな煙突を設ける必要がないからです。代わりに、専用の排気管を船体に沿わせる形で設置し、コンパクトな排気システムを構築しています。また、限られたスペースを効率的に活用するため、シンプルな通気構造が求められます。
過去のブログ記事でも紹介したように、小型船舶にはキノコ型の通気口がよく使われます。この形状は、雨水や海水の侵入を防ぎながら、エンジンルームや燃料タンク区画の換気を確保する役割を果たしています。

鳥海の通気構造
一方、先日見学させてもらった『鳥海』では、ブリッジから繋がる壁面に空気の流れを生む通気スペースが設けられています。


造船所の方に教えてもらうまでは気づきませんでしたが、壁面の複層構造が通気口の役割を担っているそうです。これにより、エンジンルームや居住空間の空気が循環し、船内環境が快適に保たれています。この構造だと限られたデッキのスペースを占有することなく、効率的な換気が可能というワケです。(排気ガスは専用の排気管を通じて船外へ排出されます)

おわりに
今回のブログでは、小型船舶ならではの通気構造について紹介しました。シンプルな構造は、作業スペースの確保や軽量化による燃料の削減にも繋がっています。小型船舶を見る機会があったら、大型船舶とは異なる技術や機能にも注目してみてください☺️
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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参考文献
ファンネルマーク