2025年02月18日 [横浜の通船・ラインボート ]
【船の煙突】ファンネルの進化〜タイタニック号の煙突は〇〇だった?〜
はじめに
子供の頃、船の絵を描くときにどんな船を描きましたか?
丸い窓が並んだ船体、そしてデッキには大きな煙突。その煙突からは、もくもくと煙が立ち上がる…。そんな船が、青い海を悠々と進んでいく様子を描いた方も多いのではないでしょうか。実はこの煙突、正式にはファンネルと呼ばれ、船にとって重要な役割を果たしているんです。
今回のブログでは、ファンネルの進化と意外な話をご紹介します。

ファンネルとは
ファンネルとは、船のエンジンから出る排気を外に逃がすための煙突のことをいいます。船の煙突(ファンネル)は、通常、船体の上部構造(スーパーストラクチャー)に設置されています。この上部構造は、デッキよりもさらに上にある部分で、操舵室や船橋(ブリッジ)などが含まれるエリアです。煙突は、ボイラー室やエンジンルームから伸びる排気管と直結しており、排気ガスを効率よく外部に放出するために高い位置に設置されています。
大型船では、このファンネル部分に会社のロゴやマークが描かれることが多く、ファンネルマークと呼ばれています。これによって、海上でもどの会社が運行している船なのか一目でわかるようになっています。視認性が向上することで、安全性も高まります。

燃料の進化とファンネルの役割
このブログでも何度か取り上げたことがありますが、船の歴史はとても古く、人類が最初に船を造り始めたのは紀元前10,000年から7,000年ごろと言われています。
丸太をくり抜いて作られた原始的な船(丸木船)の動力は、人力。具体的には、櫂(かい)や棒を使って漕ぐことで推進力を得る仕組みが一般的でした。
櫂:船を人力で進めるための棒状の船具。棒の先端を翼状に削ったもので、舷にかけて水を掻いて船を進める。
その後、船の動力は人力から風へ。帆を張って風を受けることで進む帆船は、15世紀から19世紀初頭まで世界中で活躍しました。もちろん、これらの船にまだ煙突(ファンネル)はありません。
9世紀になると蒸気機関が発明され、石炭を燃料とする蒸気船が登場しました。蒸気船にはボイラーから出る煙を逃すために大きな煙突が必要でした。当時は石炭を燃料としていたため、すす汚れを目立たなくするためにファンネルは黒く塗られているのが一般的でした。
蒸気機関:石炭を燃やした熱エネルギーを機械的エネルギーに変えて動かす仕組み
そして、20世紀の初めごろ、船の燃料は石炭から石油へと移り変わりました。石油はエネルギー効率が良く、同じ量でも石炭より遠くまで航海できます。そのため、燃料を積むスペースが減り、その分たくさんの荷物を運べるようになりました。この変化に伴い、船の煙突(ファンネル)もだんだんと小型化されていきました。
人力で漕ぐ丸木船から始まり、風を受けて進む帆船、そして石炭や石油燃料を使った近代の船へと動力が進化する中で、ファンネルもその役割や形状を変えていきました。

タイタニック号の煙突はダミーだった?!
映画でも有名な豪華客船タイタニック号。この船は、20世紀初頭にイギリスのホワイト・スター・ライン社によって建造されました。その目的は、北大西洋航路での競争力を高めるため、当時の最新技術と豪華な設備を備えた大型客船を運航することでした。
このタイタニック号には、4本の大きな煙突がありました。しかし、そのうち1本は使われておらず、ダミーの煙突だったそう!当時、煙突の数が多いほど高性能な船というイメージがあったため、それを演出する目的だったそうです。こうした背景を見ると、ファンネルには単なる機能以上に「見せる」役割もあったことがわかります。
小型船にもファンネルはあるの?
小型船の場合は、大型船のようなファンネルはありませんが、排気管・吸気口として機能する小型の構造物が取り付けられていることがあります。

おわりに
船の煙突ファンネルは、船の動力が人力から風力、石炭、石油燃料へと変わる中で、その形や役割を変えてきました。現在では排気装置としてだけでなく、ファンネルに描かれた船舶会社のロゴによって、各社の理念や個性が反映されています。港にお出かけすることがあったら、ぜひファンネルにも注目してみてくださいね🎵
ちなみに、ポートサービスが運航する船舶には、『PS』というマークが付けられています。今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。次のブログもお楽しみに。
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参考文献
氷川丸の生涯
タイタニックの斬新な内部構造や豪華な内装
Wikipedia タイタニック
移動の進化を振り返る その3〜 陸上から水上へ…船舶の登場による劇的な変化とは
ふね雑学ブログ
舶用燃料の歴史と変遷
Weblio 櫂
写真引用 wikipediaより
タイタニック号