2025年01月28日 [横浜の通船・ラインボート ]
【横浜のこんぴらさん】海の守り神・大綱金刀毘羅神社の歴史と伝説
はじめに
いつもポートサービスのブログを読んでくださり、ありがとうございます。
ポートサービス交通船部では、2025年の幕開けとともに大綱金刀毘羅神社に新年の安全祈願を行いました。今回は海上交通の守り神として、船舶関係者に深く信仰されてきた大綱金刀毘羅神社について紹介します。
横浜のこんぴらさん〜大綱金刀毘羅神社〜
大綱金刀比羅神社の創建は1188年(文治年間)とされています。旧社は旧東海道の神奈川宿台の山の中腹に位置し、東海道を行き来する旅人や神奈川港を利用する船乗りたちの安全祈願の場として栄えました。
元々は山頂に位置する飯綱大権現と山の中腹に位置する金刀比羅大権現という別々の神社でしたが、明治時代に合祀して現在の名称になりました。大綱金刀毘羅神社には、大物主神をはじめとする複数の神々が祀られており、商売繁盛や陸海交通の安全、家内安全など、様々な御利益があるとされています。また、飯綱大権現は長野県の飯縄山(飯綱山)に対する山岳信仰に由来します。つまり、山の神様と海の神様が一つの神社に祀られているというわけです。源頼朝にまつわる伝説、天狗像や石灯篭など、長い歴史を物語る遺物も多く残されています。▲神奈川宿 歌川広重『東海道五十三次』再刻版より:現在の青木橋付近から横浜駅西口方面にあった海を望む
源頼朝の伝説 夢枕で海の安全を約束したのは?
さて、海上安全などにご利益があるとされ、船舶関係者から厚い信仰を集めている大綱金刀毘羅神社。長い歴史のなかで、源頼朝にまつわる以下のような伝説が残されています。
源 頼朝:1192年に征夷大将軍に任命され、日本初の武家政権である鎌倉幕府を正式に開設した
1180年、石橋山の戦いに敗れた頼朝が安房国へ逃れようとした際、荒波に阻まれました。しかし、夢の中で大権現の神霊が現れ、安全な渡航を約束しました。実際に無事に渡ることができた頼朝は、この神霊を勝軍飯綱大権現として崇め、1185年頃(文治年間)に青木山上に社を建立。この神社は海上安全の守護神として信仰を集め、袖ヶ浦から出航する船乗りたちは必ずここで護摩を焚いてから出航したと言われています。
▲龍神池の先には弁天様を祀る「弁財天」
大天狗伝説と天狗の木像
天狗像を江戸から香川県の金刀毘羅宮へ奉納するために、使者が東海道を進んでいたときのこと。神奈川宿で一泊した翌日、突如天狗像が重くなり、動かせなくなってしまいました。途方に暮れた使者がもう一泊すると、今度は夢の中に天狗が現れ、「飯綱の神宮に留まりたいので、ここに置いていってほしい」と告げたというのです。この神託を受け、使者は天狗像を地元の大綱金刀比羅神社に奉納。天狗像は横浜大空襲により消失してしまったそうですが、写真にあるように木造の天狗像が現在も鎮座しています。この天狗像は松の御神木を伐採した際、天狗の彫刻を施したものだそうです。▲写真右側に鎮座する天狗像
おわりに
今回は参拝の際の写真とともに、大綱金刀毘羅神社について紹介しました。裏山の崩壊など、度重なる自然災害により社殿の再建や移築を余儀なくされてきた金刀比羅神社は、横浜港の発展とともに歩んできました。現在でも横浜の海上交通の守り神として、多くの人々に親しまれています。
株式会社ポートサービスは2025年も安全運航に全力を尽くしてまいります。今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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参考文献
Wikipedia 源頼朝
神奈川県神社庁
猫の足あと 横浜市寺社案内
Wikipedia 大綱金刀毘羅神社
トラベルjp
ご利益満載の「大綱金刀毘羅神社」
資料引用
Wikipedia 神奈川宿