2023年12月19日 [横浜の通船・ラインボート ]
船舶の安定性が向上!アンチローリングジャイロの仕組みとは?
はじめに
いつもポートサービスのブログを読んでくれてありがとうございます。船の揺れが苦手な方って、結構多いですよね。そんな方にこそ知ってほしい、揺れを軽減するアンチローリングジャイロという装置を紹介します。揺れを軽減する秘密の装置、実は現在造船中のパイロットボートにも搭載されるんです🎵
その仕組みを紹介する前に、まずは船が揺れるのはなんで❓という要因を探っていきます😊
船が揺れるのはなんで?
『海の上なんだから揺れるのは当たり前じゃん!』と言わずに、船が揺れる様々な要因を見ていきましょう。
その1 船が旋回したり進路を変えたりするとき
船がまっすぐ進んでいるときは、水の流れに対して船体が安定しています。しかし、船が曲がる場合や進路を急に変える場合、水の抵抗や慣性によって船が揺れます。
慣性:物体が外からの作用を受けない限り、同じ運動状態を続けようとする性質のこと
車で例えるなら、急ブレーキをかけたときに体が前に傾くような感覚です。
その2 波や風の影響
波や風が船体にあたることで、揺れが生じます。波の高さや周期、風向きや風速などが変化すると、船の揺れも大きく変わります。
その3 海流や潮流
時間と共に変化する海流や潮流。また、地形や海の深さによってもその潮流は変化し、揺れを引き起こすことがあります。潮流:海の干満によっておこる海水の流れ
アンチローリングジャイロって何じゃろ?
さて、ここからが本題です。現在造船中のパイロットボートは安全性能がフルに搭載されていることが大きな特徴です。中でも、今回紹介するのはアンチローリングジャイロ(ARG)と呼ばれる装置。
アンチローリングジャイロは船の安定性を向上させ、乗船者は快適に、そして船内の貨物や機器が横揺れの影響を受けず、安定して運搬・操作が行えるというメリットがあります。
前項の船が揺れる要因を読んでいたら、船が揺れないなんてことは不可避のように思えますよね。では、ここからは揺れを軽減してくれるアンチローリングジャイロの仕組みを見ていきましょう。
アンチローリングジャイロの仕組み
アンチローリングジャイロには、高速で回転するジャイロスコープ(ジャイロ)が内蔵されています。ジャイロスコープは、物体が回転しているときに生じる角運動量を利用して、横揺れに対する抵抗力を生み出します。
…ちょっとわかりづらいですね🥱😴😪おもちゃのコマに例えてみます。コマを回転させると、コマは安定して立ち続けます。これは、コマが高速で回転しているために生じる自己安定化効果があるからです。
同じように、パイロットボートに搭載されるアンチローリングジャイロも、高速で回転するディスクが横揺れに対して反応し、物体を安定させる効果があります。おもちゃのコマが傾いても回転力が働いてまっすぐに立ち続けるのと同様に、ジャイロも物体が傾いたときに反対方向に力を発生させ、バランスを保つのです。
▲造船所に届いたばかりのARG。この箱の中に高速回転するものすごい仕組みが入っています
おわりに
造船所で伺ったところ、アンチローリングジャイロが特に効果を発揮するのは停泊中だそうです。冒頭で紹介した船が揺れる要因を見ると、確かに停泊していても潮流や波、風など、避けようのないものがほとんどですよね。まだ未搭載の状態ですが、搭載する際にはまた動画でもお伝えします。今回も最後まで読んでくれてありがとうございました😊
ポートサービスの公式アカウントでは交通船や横浜の魅力を発信中!
💁♀️ブログ
💁♀️YouTube