2023年09月26日 [横浜の通船・ラインボート ]
【新造船】軽くて強い!FRP船の造船工程を紹介します【パイロットボートができるまで #3】
はじめに
いつもポートサービスのブログを読んでくださり、ありがとうございます。ポートサービスでは、現在パイロットボート造船の工程を追うドキュメンタリー、『パイロットボートができるまで』をYouTubeにて投稿中です。こちらのブログでは、動画と一緒にじっくり見たい方のために、造船の舞台裏を紹介していきます。
『パイロットボートができるまで』の第三回となる「FRP」では、船の主材となるガラス繊維と樹脂の複合素材、FRPについて、志津川造船鉄工所の高橋祐太郎さんにお話を伺いました。造船所の秘蔵映像も満載です🎵
軽くて強い!FRPとは?
FRPとは、Fiber Reinforced Plastic=ガラス繊維強化プラスチックのことで、ガラス繊維と樹脂の組み合わせで構成されています。その特徴として、高強度・軽量、耐久性、形状の自由度などが挙げられます。
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強度と軽量性
FRPは、繊維(一般的にはガラス繊維や炭素繊維)の強度と樹脂の軽量性を組み合わせています。これにより、鋼材と比較して重量が軽くなりながらも高い強度を維持することができます。軽量性は燃費の向上や船舶の操船性能の向上にも寄与します。耐久性
FRPは非金属であるため、鉄や鋼のような腐食の心配がありません。海水や化学物質に対して耐性があり、定期的な防錆処理や塗装の必要性が低いという利点があります。加工性と形状の自由度
FRPは成形性が高く、複雑な形状や曲線を持つ船体を作り出すことができます。また、多様な色やデザインを実現するために、樹脂に着色剤を添加することもできます。以上のことから、鉄鋼材と比較してメンテナンスや修理がしやすいというメリットもあります。今回は資材置き場で樹脂を浸み込ませる前のガラスマットを見せてもらいました。
▼この薄いガラス繊維が船のメインの材料になるなんて驚きですね!
▼樹脂を浸み込ませて、硬化させることで割れにくい強化プラスチックが造られる。
▼ガラスマットに樹脂を含浸(がんしん)させる。含浸:浸み込ませること
船の色はいつ決まる?
▼FRPを積層していく工程、それが船体積層。積層の始めに、”船の色”となるゲルコートの塗布が行われる。
▼型枠に入った状態では船の色を見ることはできません。写真のように型枠から取り出されて、初めて”船の色(ゲルコート)”を見ることができます。型枠から船を取り出す作業が、船体積層の次の”脱型”です。
造船中の漁船を見せてもらいました!
今回パイロットボートの造船をお願いしている宮城県の志津川造船鉄工所では、県内外の漁船を中心に造船されています。そこで、今回は特別に造船中の漁船を見せて頂きました。
ちなみに、パイロットボートは型枠ができあがって、船体積層が始まるところ。漁船は船体積層を終えて、強度を増すための構造材の製作中です。パイロットボートよりも工程が進んでいるので、イメージが掴みやすいですね!
▼迫力がある漁船の型枠。写真右が案内してくれた志津川造船鉄工所の橋祐太郎さん。
▼硬化したFRPは軽いのに強い!男性が足を掛けてもビクともしません。
▼一足先に構造材が入った漁船。構造材は、人間で言うところの”骨”。構造材を入れた後に型枠から抜かないと、歪んでしまいます。
パイロットボートの造船
さて、漁船からパイロットボートに話は戻ります。パイロットボートは型枠の製作が終わり、離型剤の塗布が始まりました。離型剤とは、型枠から船本体を取り出しやすくするためのもの。この工程を経て、”船の色”となるゲルコートの塗布や、FRPの積層が始まります。
▼離型剤を塗らないと、テフロン加工をしていないフライパンのように型枠とFRPがくっついてしまう。
おわりに
普段は見ることができない造船中の漁船やパイロットボートの様子をお伝えしました。ポートサービスのYouTubeではパイロットボートができあがるまでの様子を公開しています。今回のブログの続きとなる『船体積層』に関しては、9月29日㈮にこちらのチャンネルでご覧ください😊ブログでも追ってご紹介します。
今回も最後まで読んでくれて、ありがとうございました。
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シリーズ 『船ってどうやって造られるの?』
#1 造船のプロセスと革新的なFRP船の特徴
#2 船造りの真髄『現図』と『型枠』とは
#3 船の本体 船殻づくり
#4 職人の手仕事が織り成す美学!船の型枠ができあがるまで
#5 FRP船の本体積層工程とゲルコートの特長に迫る!
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